少量生産、手作り、安全への情熱
「先生、このお菓子はオーブン何度で何分焼けば良いですか?」
「ちょうどよい温度で、焼き上がりまで焼いてください。」
有名シェフが何を教えてくれるか期待してお菓子づくり教室に参加した生徒さんの切実な質問と、我らがビーネ・マヤ岩川シェフの答えです。CBスイーツファクトリーに来てくださった時も、「オーブンのデジタル表示を信用しちゃいけない。バッと扉を開けた時に顔に感じる熱風で判断しないと。」「その日の気温や湿度、原材料の温度、混ぜ方によっても微妙に出来上がりがかわる。そこをつかむには、焼いて焼いて焼くしかない。さあ、頑張って。」私たちに最初に教えて下さったのも火加減と原材料の扱いについてでした。
ビーネ・マヤ 岩川オーナーシェフ
同じような話をしてくださった方がもう二人。一人は「はちみつ果実」の製造をお願いする長野県の中高果実加工の酒井専務のお父上で、長野を代表する銘菓のひとつ「ゆきげあんず」を作る利久堂の酒井社長。「私がこの道に入った頃は、菓子を焼くかまどを自分で組んで火加減を自由に出来るようになって初めて一人前と言われました。」もう一人は同じ長野県松代市でホテルやレストランの特注のドレッシングを製造するグローバルフーズの小林会長。「娘婿を後継者に育てる途中、各材料の分量は全部合っているけど、火を入れる順番を間違えやがった。素人はそれが仕上がりに出ないと思っているから怖い。何度も全部捨ててやった。」
「長野オリンピックの時など、大きくなる長野県の食品加工の企業がたくさんあったのに、なぜ大きくしなかったのですか。」私の質問にいみじくもお二人は全く同じ答えをされました。「良いものを作るには、良い材料を使うのはもちろんだけど、「目の届く範囲」ってのがあるんだよ。それを守ってきただけ。」
肝に銘じました。
オーブンの温度調整、材料の手軽量とふるい、均一過ぎない混合、型へのバター塗りの手の温度と厚さの感覚、感覚で絞るのではなくひとつひとつ計量しながらの生地入れ、ジャストタイミングを逃さないためのオーブンの凝視、適度なスチーム、ひとつもロスにしない丁寧な型はずし、ミクロのススすら見逃さない表面検品といくつもの「美味しく作るコツ」を持ちながら、パティシエールの目が行き届くような体制でお菓子作りを行っています。
また、これは食品メーカーとして当然のことですが、衛生管理、品質管理には常に新しい情報を入手し積極的に取り組んで参ります。楽しみにして箱を開けていただいたお菓子に何かあっては決してなりません。